プランクトンや魚などの海洋生物が摂取した微細なプラスチックが、食物連鎖によって人間の食卓に届くこと。プラスチック製品から剥がれたマイクロファイバーが、洗濯機から排水される水に含まれ、水道に流れること。
マイクロプラスチックやナノプラスチックが引き起こす悪影響は、グローバルな問題。今年に入って、世界中で、続々とあらたな研究結果や報告もあります。
マイクロプラスチックは、すでに空気や水、土壌などの環境中に広く分布し、食品に入り込む経路はさまざま。プラスチック製のパッケージを切ったりひねったり破いたりすることでも、マイクロプラスチックが発生し、食品に付着する可能性があるといいます。
環境や健康に対するリスクを減らすためには、私たち一人一人が意識を高め、行動を変えることが必要。ヘルスハック2024~vol.2~後編スタートです。
Contents
- もはや生活すべてにマイクロプラスチック汚染
- マイクロプラスチック問題の研究や対策の現状
- 【結論】マイクロプラスチックの害は明確でなくとも無視できない
- 私たちができる最も重要なこと
- まとめ
もはや生活すべてにマイクロプラスチック汚染
学術雑誌『Scientific Reports』によると、プラスチック製のパッケージを切ったりひねったり破いたりして開けることで、マイクロプラスチックが発生することが判明しました。
私たちが日常的に食べているパンの袋、飲料のボトルを開けるたびにマイクロプラスチックを放出している可能性があることに、驚きを隠せません。
早稲田大学の大河内博教授らの研究グループは、海の生態系への影響が懸念されるマイクロプラスチックが、なんと雲の中にも存在することを野外観測で初めて確かめました。
水蒸気が水滴に凝結する際の核となって、雲の量を増やし、降雨量を左右。雲の中のマイクロプラスチックは雨水として地上に降り、農業や畜産業を通じて人体に入り、健康に影響する恐れがあるというのです。
このようなニュースを耳にして、あなたはどう感じますか?
マイクロプラスチック問題の研究や対策の現状
マイクロプラスチックに関連する文献を多く発表しているのは、中国、米国、ドイツ、韓国、イタリアなど。
米国・EU・日本のプラスチックごみ問題に関する取り組みについては、発生源を管理し、使用後はリサイクルや環境中での分解を促進させることでプラスチックの環境への流出・蓄積を防止するなど、方向性は一致しているように見えます。
マイクロプラスチックの除去関連の研究についても進められています。たとえば健康に対する真の影響を明らかにするためには、細胞組織内のより多くの実施調査と実験研究が必要とされています。
しかし、より小さな粒子(ナノプラスチック)を検出できる分析ツールの改良や、マイクロプラスチック除去のための資金調達、その収益性など、実験や研究の障壁があるのも事実です。
【結論】マイクロプラスチックの害は明確でなくとも無視できない
マイクロプラスチック汚染への対策には、科学者、研究者などの専門家だけでなく、政府や企業家、私たち一般市民全員による長期的で一丸的な努力が必要になります。
既存データが不十分な現状、全ての人々が可能な最高の健康水準に到達することを目的として設立された国連の専門機関WHOや、食料の安全保障と栄養、作物や家畜、漁業と水産養殖を含む農業、農村開発を進める先導機関FAOなどで、エビデンスの質が強固でないとされてしまうと、マイクロプラスチック除去の取り組みに対する障害にもなってしまいます。
スーパーで個人が選択することだけではマイクロプラスチック摂取問題は解決しないことが分かった今、私たちにできる行動とは何か、を考えなければなりません。
このまま汚染が進めば、今よりも次世代はもっと生きづらい世の中になることは、誰でも想像がつくでしょう。
私たちができる最も重要なこと
私たちができる最も重要なことは、全般的にプラスチックの使用量を減らすこと。シンプルですが、それに尽きます。
ペットボトルの水ではなく水道水を飲む、プラスチックで包装されていない食品を可能な限り購入するなどが挙げられます。
参照:過去記事 コンポストや量り売り、循環型コミュニティとは
シャンプーバーや竹スポンジなどの生分解性またはサステナブルな代替品と共に、ゼロウェイストショップやエシカルファッションのブランドなどは、すべて人気が高まってきています。
参照:過去記事 いま、エシカルショップに行くべき3つの理由
まとめ
2023年までに発表された主な研究結果を見ると、マイクロプラスチックは人体に侵入することが確認されていますが、その量や期間、形状や種類によって健康への影響は異なると考えられます。 具体的な健康被害のエビデンスは報告されていません。今後も継続的な研究が求められます。
前編でお伝えしたように、プラスチックには、強度や柔軟性を出すための添加剤が含まれていますが、これらの化学物質は水中でプラスチックから溶け出すことがあります。 一部の添加剤は、人体への影響が懸念されており、多くの国で十分な規制がされていないと指摘されています。
マイクロプラスチックの曝露レベルや効果レベルのデータは不十分ですが、日常的にプラスチックの使用を減らすことや、海岸ごみ拾いのボランティアに参加するなど、私たちの行動が健康や環境に大きく影響を及ぼすことを忘れないでください。
これ以上、環境や健康の害、負のツケを増やさない!できることから、取り組んでください!
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