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【料理家/大塚佑子さん】Vegan=正義ではなく、もっと自由に

あるもので料理する「アルモンデ」料理教室が大好評の、大塚佑子さん。

実は、ビーガン料理のプロフェッショナルとしても、数多くのレシピ考案や、生徒さんたちにそのテクニックを伝授する料理家のひとり。

以前、アルモンデパーティーにお邪魔し、料理することや食べることをとことん楽しまれるお姿に、私もすっかり魅了されました。今回は大塚さんのルーツにせまるインタビューをお届けすることにしましたよ。

※過去のアルモンデパーティーの様子は、こちら

ビーガンに興味があるけれど、いまだ一歩をふみだせていない!というあなたには、ぜひこの記事を読んで、今年最後の目標として「週一、月一ビーガン」や「アルモンデ料理」にトライしてもらいたいと思います!

Contents

  • 大塚佑子さんって、どんな人?
  • 料理に興味をもつようになったきっかけ
  • 「ひびのわ」のこと
    • いい素材と本物の調味料とは
    • 『〜ねばならない病』をなくしたい
  • 大塚佑子さんのプロフィール

大塚佑子さんって、どんな人?

そいみん:「食」に関わるお仕事を、多方面で精力的にこなされていますが、自己紹介がわりに、最近の活動内容を教えてください。

大塚:「食」に関わることはなんでもやりたい!という欲のおもむくまま(笑)、雑多に活動しております。現在は、月一のアルモンデ料理教室(ビーガン)、アルモンデ料理イベント、シェフや料理家さんのアシスタント、保育園の給食づくり、VEGAN検定講師などを定期的にしています。

そいみん:私はSNSで、スープ作家の有賀 薫先生が「アルモンデ料理パーティー」のお知らせ投稿をされていたのをたまたま発見して、大塚さんのことを知りました。その後、有賀先生から「佑子さんはビーガンの料理家なのよ!」とうかがって、ますます興味を持ったんです。

でも、大塚さん自身は「完全なるビーガンではなく、完全なるビーガンになろうという想いもない」と、ブログで語っておられますね。それは、なぜ?

大塚:動物由来の食品を「食べちゃダメ」ではなく「食べなくてもいいよね」というのが、私の基本のスタンスなのです。10年近く続けている月一の料理教室は、最初からずっとビーガンですが、生徒さんも、ビーガン料理を学べるという理由で参加しているのではないようです。

動物性食品がなくても満たされますね、とビーガンをポジティブに捉えてくださっています。

そいみん:なるほど、そういうことなんですね。何においても、私たちってカテゴライズしたり定義をほしがる傾向にありますが、そうするといろいろな価値観や視点を排除する方向になってしまいますものね。

大塚:たとえば、VEGAN検定の講師をする際には、VEGAN=正義という流れにならないよう、事実やデータに基づいたことを淡々と伝えることに気を配っています。完全なるビーガンの生徒さんもそうでない方もいるので、ここが世の中の縮図だと思いながら、彼らが尊重し合う場をつくることに重きを置いています。

そいみん:尊重、大事ですね!ビーガンのいいところって、ヘルシーとか動物や環境にもやさしいという以外に、私は「誰もがみんなで一緒に楽しめる」点が一番好きです。

大塚:ビーガンシェフのアシスタントやビーガンメニューの提案をする際は、もうただビーガン料理を楽しんでいる感じ。ビーガン料理やビーガンな暮らしを頑張らずに楽しみながら、少しでも環境や生き物にポジティブな影響を与えることができたら、嬉しいですよね。

料理に興味をもつようになったきっかけ

※写真:アルモンデパーティーの様子

そいみん:料理の世界への興味は、学生時代からだそうですが、その頃どんな憧れや夢をお持ちだったのでしょうか。

大塚:大学時代、ほんの短い間ですがオーストラリアに留学していました。それが初めての海外だったのですが、とにかくスーパーの食材売り場に行くのが楽しくて!新しい食材や、世界中の料理に出会える仕事はないかと考えて、食材を輸入する商社へ就活したりもしました。(書類で落ちましたが、笑)

もともと、学生時代に一番なりたかったのは、実は「専業主婦」。料理もそうですが、家事全般が大好きなんです。一日中家事だけすればいい=主婦という安直な考えだったため、その夢は今でも叶っていませんが(笑)。

そいみん:大学卒業後は企業に就職され、本業のかたわら、さまざまな料理に関するアルバイトや無償の手伝いで、貴重なご経験 (面白い体験も!)を積まれたそうですね。

大塚:建築資材の総合商社に新卒から15年、勤務しました。地方に住んでいたのですが、ほぼ毎週都内に通い、月2回のペースで料理教室や食に関連するイベントに参加していました。

現代のような「副業」は禁止だったため、無給でカフェで働いたり、通っていたヨガスタジオのイベントでお弁当を出したり、卸専門の築地の八百屋で月一スタッフをしたり。

そいみん:えー!!副業バリバリじゃないですか!すごいバイタリティ♪

大塚:料理を通して新しいご縁が広がるのが楽しくて、誘われるまま色々なところに顔を出していました。今があるのもすべて、その頃のご縁のお陰です。

忘れられないのは、ある大規模なパーティーの料理を、会議室の控え室で作ったこと。企業からの協賛だった食材は事前に聞いていたものと違うし、洗い場は控え室からは遠く離れた給湯室の狭いシンクだし、控え室では火も使えませんでした。

そいみん:えっ!?あ、ありえない……で、で、どうしたんですか??

大塚:4つの電磁調理器をフルに使って、ブレーカーを何度も落としながら料理したんです(笑)。私はアシスタントとして参加しましたが、結果的に世界中から集まった人たちにスタンディングオベーションをもらい、心底感動したのを覚えています。

料理ってアイデアさえあればどこでもできるんだ、という確信を持ったのは、きっとあの日ですね。

そいみん:やばい、今のエピソード、カラダが震えました。

「ひびのわ」のこと

そいみん:「ひびのわ」という屋号をお持ちで、ブログも発信されていますが、ネーミングの由来は?

大塚:「ひびのわ」は、私が日々(の暮らしで)大切にしている、3つの「わ」=「和・話・輪」のこと。

それぞれの「わ」は、【和=穏やかで自分自身とも周りとなかよしであること】、【話=自分自身や周りとはなしをすること(コミュニケーション)】、【輪=自分と自分以外との繋がりを意識すること】です。私にとって、この3つの和が、すべて食を介して叶えられることでした。

私にとって「アルモンデ料理」とは「ひびのごはん」そのもの。自分自身が食に関する活動をすることで、誰かの「ひびのわ」のきっかけになれたらという願いを込めています。

いい素材と本物の調味料とは

そいみん:「いい素材とホンモノの調味料があれば、だいたいのものは作れるし美味しいということは確信となり、これはみんなにシェアしたいぞ!と思い始め、OLをしながら自宅で料理教室をスタートしたのは2014年のこと。」というコメントをブログで見つけました。

本物の食材や調味料」について、教えてください。

大塚:私にとっての本物の食材や調味料とは、「必要なことは省かず余計なことはしていないもの」です。生産・製造過程で過度な負荷がかかっていないか、ということも重要視しています。

本来必要な時間や工程を端折ったり、ポテンシャル以上の量をつくろう、などと本来はしなくてもいいことをすると、環境にも人にも負荷がかかりますよね。何より素材に負荷がかかると味がひねくれてしまって、なんだか出来上がった料理の味もイマイチなんです。

幸運にも、今までたくさんの真摯な生産者さんとの出会いがありました。「必要なことは省かず余計なことはしていない」というのは、彼らの姿から教わったことです。

そいみん:ビーガンの中には、健康を気づかって、できるだけ添加物を避ける人もいれば、加工品や精製された調味料、化学調味料を使っていても、特に気にせずにバラエティに富んだものを食べたい人に分かれますよね。

大塚:味の好みが人それぞれ違うように、本物の定義も、人それぞれかもしれません。私が思う本物を紹介して味わってもらうことで、みんなが自分自身の本物を探すきっかけになれたらと思っています。

『〜ねばならない病』をなくしたい

そいみん:大塚さんって、お料理の腕前はもちろんですが、とにかく自由で柔軟な発想と、料理をとことん楽しむことに対して、天才的にポジティブでクリエイティブ。「これなら、信じてついていける!」と思いました。

まるで、マジシャンのように、素早くあっという間に食卓を料理で彩るワザは、多くの料理家をうならせていらっしゃいますね。アルモンデパーティーも、圧巻でした。

ビーガンについてもガチガチにこだわるわけでなく、ビーガン以外の言葉を探し中!とも語っていらっしゃいましたが、何かいい言葉はみつかりましたか?

大塚:一言でこれ!という言葉は、実はないのかもしれませんね。〇〇料理とカテゴライズすることは、わかりやすいので必要だと思いますが、一方で〇〇料理と名付けられた瞬間に、それを定義するルールが必要にもなります。

定義やルールを知ることは大切なんですが、それが「〜ねばならない」の方向に行かないように、知ることでさらに自由に食を楽しむことができるよ!ということを伝え続けていきたいです。

大塚佑子さんのプロフィール

その場で、アルモンデ料理する人。大塚佑子さんより、メッセージ~

『旬の野菜をたっぷり食べる、レシピのない料理教室』を、埼玉県草加市をメイン拠点に開催中です。お家や季節にアルモンデ、食べたいものをつくる方法をお伝えしています。ビーガン・ベジタリアン・アレルギーに対応した出張ごはん、オンラインでのマンツーマン・アルモンデ料理レッスンも、随時受付中!

今後のスケジュールをお伝えしますね。少人数制で、定員に限りがありますので、興味のある方は、お早めにご予約をお願いします。

月イチ料理教室(埼玉県草加市にて開催)
・10月28日 (土) 10:00-13:00 /テーマは「巻く」
・11月25日 (土) 10:00-13:00 /ひよこ豆の手前味噌づくりと味噌を使った料理

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