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バードフレンドリーコーヒーで森の生態系を守れ

あなたは、コーヒー好きですか?毎日、飲んでいますか?

一杯の「向こう側」を考えながら、コーヒー選びをしたことはあるでしょうか。

今、生物多様性の観点からも、持続可能な形で生産・調達されたコーヒーが増えています。

そのひとつが、「バードフレンドリーコーヒー」。

身近なお店でも購入できる、サステナブルなコーヒーについてご紹介します。

目次

  • バードフレンドリーコーヒーとは
  • バードフレンドリーコーヒー認証の背景
  • バードフレンドリー認証の規模
    • バードフレンドリーコーヒー認証基準
      • バードフレンドリーコーヒーとSDGs
  • バードフレンドリーコーヒーはどこで買える?
    • そのほかのコーヒー認証
  • まとめ

バードフレンドリーコーヒーとは

熱帯雨林を伐採せず、その木陰を利用して有機栽培されたコーヒー豆にのみ与えられるのが、バードフレンドリー認証

1999年に立ち上げられた認証プログラムで、スミソニアン協会 (米国) の研究機関であるスミソニアン渡り鳥センター (SMBC) が管理しています。

熱帯雨林を伐採しない理由としては、「渡り鳥の休息地の確保」があげられます。

(もちろん、熱帯の森林では、ハチドリやムシクイといった渡り鳥が羽を休めているばかりでなく、昆虫や植物などの生物の多様性が保たれ、CO2吸収や水質保全という効果も備えています)。

いくつもの基準をクリアし認証をうけたコーヒーの収益の一部は、渡り鳥や農園の環境調査に使われ、快適に維持されているかどうか、常に調査されています。

渡り鳥の研究・保護活動の年次レポートが バードフレンドリーコーヒー公式サイトにて公開されています。 公式サイト内の「REPORT」をご覧ください。

バードフレンドリーコーヒー認証の背景

毎年、何百万羽もの渡り鳥が、越冬のため、北米からメキシコやコロンビア、グアテマラ、ホンジュラスなど、コーヒーの名産地として知られる中南米エリアに移動しています。

冬の間、渡り鳥たちの休息地となってきたのが、原生林が残る中南米の熱帯林。暖かい森の中で、鳥たちは水や食べ物にありつくことができます。

しかし、そんな渡り鳥たちの森が急速に失われつつあります。背景にあるのが、コーヒーの栽培方法の変化。

かつて、コーヒー栽培といえば、熱帯林の下で育てる木陰栽培(シェードグロウン)が主流でした。

しかし、低コスト化を図るため、低木のコーヒーを大量に栽培するプランテーション型の農法=木陰をつくるシェードツリーを伐採したサン・コーヒー(Sun Coffee)が増加。

熱帯林が伐採され大規模農園に姿を変えるにつれて、渡り鳥の減少も確認されるようになっていきました。

そいみん。

アメリカとカナダで行われた調査では、1970年から2020年までに約30億羽の渡り鳥が姿を消したことが分かっています。

バードフレンドリー認証の規模

現在、中南米、アフリカ、アジアなど13カ国、59農園 / 農協がバードフレンドリー認証を受けており、1,780種類以上の鳥たちを世界中の認証農園内で確認しています (2022年1月のデータによる/住商フーズ株式会社HPより) 。

渡り鳥をふくめ、森の生態系を守ることが目的のバードフレンドリー認証ですが、生産者の支援にも繋がっています。

木陰栽培のコーヒーは品質が高く、高値で取引されます。また、認証コーヒーの売り上げの一部は、渡り鳥の保護に使われるほか、生産者にも還元されるため、持続可能な経営をサポートすることができるのです。

バードフレンドリーコーヒー認証基準

森の生態系=原生林に近い環境とは?

バードフレンドリー認証の条件は、以下のように細かく定められています。

・シェードツリーが農園の40%を覆っていること (地面から空を見上げた時、シェードツリーの枝葉に40%覆われていること)
・木の高さについては、20%が15メートル以上の大木であること
・60%が12メートル以上の中木であること
・小木が20%あること
・樹種も11種類以上で構成すること
・有機農法で栽培されること

農薬の過剰な使用をひかえ、コーヒーかすのような有機廃棄物を肥料として使うことにより、
土壌を活性化させ、鳥たちの食糧となる虫や微生物を増やします。

バードフレンドリーコーヒーとSDGs

バードフレンドリーコーヒーは、SDGsの達成にも関わっています。SDGsの需要の高まりから認証参加組織数は増加傾向にあり、今後も市場は拡大し続け生産者の貧困も減っていくと予想されています。

参照:国連|17の目標|持続可能な発展

バードフレンドリーコーヒーはどこで買える?

全国のスーパーマーケットや小売店、また、一部の大学やホテルなどで購入できるバードフレンドリーコーヒー。

一般的な豆よりほんの少し割高ですが、コーヒーが育つ森で過ごす渡り鳥の様子を思い浮かべながら飲むと、格別な時間を過ごせそう!

少量から試すなら、カルディコーヒーファーム(写真)や小川珈琲がおすすめ。

そのほかのコーヒー認証

生物多様性や生産者の人権を考慮したコーヒーに与えられる認証は、他にも「レインフォレスト・アライアンス認証」や「国際フェアトレード認証」など、いろいろなものがあります。

ここで、代表的なものをご紹介しましょう。

ウーマンズハンドコーヒー

コーヒー豆の作り手の7割は、女性といわれます。

生産国は、経済格差やジェンダーの問題を抱えており、「ウーマンズハンドコーヒー」は、女性の自立支援、社会的地位の向上、経済的環境の改善を趣旨として2010年に発足しました。

中米のなかでも良質なコーヒー豆の産地として知られている「アソバグリ組合」に所属する農園は、自然環境に配慮した農法を行い「JAS有機認証」を得たコーヒー豆を生産しています。

女性たちの手によって、ひと粒ずつ、ていねいに収穫された熟度の高い実。優しい自然な甘みと香りが特徴。

コーヒー豆の価格にはプレミアムが付与され、収益の一部は、奨学金制度や生活環境改善など、女性の自立への懸け橋になるよう還元されています。

オランウータンコーヒー

アジアで最大規模の低地熱帯雨林であるインドネシアでは、自然破壊とともにオラウータンが滅危惧種に指定されています。

熱帯雨林を必要とするオランウータンを守ることは、生物の多様性を守ることにもつながるとして立ち上がったプロジェクトが、オランウータンコーヒープロジェクト

自然環境の保護や生物多様性の保全、コーヒー農家の経済的安定を確保することなど、持続可能な環境整備をサポートするのが目的です。

Grounds for Health(グラウンズフォーヘルス)

Grounds for Healthは、1996年に設立。 もともとメキシコのオアハカで女性を治療することに焦点を当てたボランティアベースの取り組みでしたが、ラテンアメリカとアフリカでプログラムを実施する国際的に認められた非営利団体になりました。

Grounds for Healthは、低中所得国における子宮頸がんのスクリーニングと予防的治療の対象範囲に焦点を当てています。

IWCA

IWCA (International Women’s Coffee Alliance) は、2003年にNPO法人としてアメリカで設立されました。現在、32カ国がIWCAに加盟しています。ちなみに、日本支部 (IWCA JAPAN) の設立は、2015年3月23日。

「Woman Share/Help Woman ~女性が女性を支援する~ 」をキーワードに、女性達にコーヒー生産技術や意識改革のトレーニングを実施し、リーダー人材育成を行い、生活向上を目指す活動を行っています。

まとめ

コーヒーの栽培は環境の変化を受けやすく、世界的課題となっている温暖化がこのまま続くと、世界有数のコーヒー大国として有名なブラジルの栽培適地は、2050年には60%、アラビア種のコーヒー栽培に適した土地は、現在の50%にまで縮小されるといわれています。

伝統的かつ持続可能な農法でつくられるバードフレンドリー認証コーヒー。適度な日陰を提供することで、じっくり熟成されるコーヒー豆は、高品質で豊かな風味を持つスペシャルティコーヒーとしても評価されています。

コーヒー愛好家のみなさん、日常のなかで無理なく環境保護や労働者支援に貢献したいあなた、この機会に、チェックしてみてくださいね。

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