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米粉が日本の未来を救う【CUBREAD山下由香さん】インタビュー

ビーガンフードをクリエイトする料理研究家の方や、ビーガンに関わる注目の人を紹介するインタビューコーナー。

第一回目は、米粉パンのプロ「CUBREAD」の山下由香さん登場です。

Contents

  • カフェやパンづくりを始めたきっかけ
  • なぜ、米粉パン?
  • 米粉パンをつくりはじめて出会ったひとりの男の子
  • 大成功のクラウドファンディング
  • 未来の子供たちのために出来ること
  • 味覚の授業も始めてます!

カフェやパンづくりを始めたきっかけ

そいみん:まずは、静岡県の伊東市にある、山下さんの工房兼カフェをオープンされた経緯からお話聞かせてください。

山下さん:もともと、主人の実家が宿泊業を営んでおりましたが、時代の流れからかお客様の数も減り、経営存続の危機を抱えていたんです。同じ頃、心臓の病に倒れた主人に対して、主治医から食生活改善するように言われ、マクロビオティックの勉強を始めました。

宿泊業をリニューアルして存続するか、ずいぶん悩みましたが、思いきって時代のニーズに合ったカフェの経営に切り替えることにしたんです。それが『Organic Cafe M2』のはじまりです。

そいみん:カフェをオープンされる前は、別のお仕事 (アパレル関係) をされていたそうですね。

山下さん:アパレルの仕事とカフェ経営は、関連がないように思われるかもしれませんが、本来の料理好きから「フードスタイリスト」「フードコーディネーター」の仕事もしていたので、飲食の世界に入るのは自然な流れでした。

そいみん:だから、お店も商品もすごくオシャレで素敵なんですね~、納得!

なぜ、米粉パン?

そいみん:カフェを開店された当初は、一般的な小麦系のパンを販売していらっしゃったそうですが、なぜ現在のようなラインナップ (米粉パンの製造) に方向転換されたのでしょうか。

山下さん:カフェ経営を始めて数年後に、私自身が突然、小麦アレルギーを発症してしまったんです。もうパンがつくれないのか、食べられないのか……、その時はショックでしたが、グルテンフリーの米粉を使えばいい!と考え方を変えたんです。

そいみん:グルテンを含まない米粉パンって、成型や発酵のタイミングなどが難しいそうですね。商品をすべて変えるのは、大変だったと想像します。

山下さん:そうなんです。米粉パンと言える商品になるまでに、8年もかかってしまいました。その間にネトネトの米粉パン(家族からはウイロウ?と言われてました(笑))だったり、ガチガチの米粉パンだったり、口が切れるほど硬く焼けてしまったり、もうやめてしまおうかと何度も何度も思いました。

そいみん:うわぁ……8年は長いですねぇ。

山下さん:どうしてもパンが食べたくて、あきらめずに焼き続けるうちに、やっと人様にお出しできる米粉パンになりました。

基本的には自分が食べたいパンをつくっていますが、たとえばTVやSNSでおいしそうなパンを見つけると、想像でつくったりもします。失敗することも含めて、楽しめるようになりました。

米粉パンをつくりはじめて出会ったひとりの男の子

そいみん:米粉パンを販売するようになって、お客様の反応や、山下さんの中で何か変化がありましたか?

山下さん:米粉パン屋を始めてから、一人の男の子に出会いました。その子は、私と同じ “小麦アレルギー” で、給食のメニューがパンの日は「僕は、いつもお母さんのおにぎりなんだ」と話してくれました。お母さんのおにぎりが嫌いなわけではないのですが、みんなと同じ物が食べたいんだと。

そいみん:みんなと同じものを食べられないのは、悲しいですよね。私も子供の頃からビーガン体質だったから、よくわかります。

山下さん:大人の私でさえ、みんなと同じ物が食べたい!パンを食べたい!と思うのに、子供ならなおさらガマンするのはツライだろうと思いました。それで、男の子が通っている小学校に交渉し、給食のパンを1日だけ米粉パンにしてもらったんです。

そいみん:えーっ!山下さん、すごい行動力!

山下さんみんなと同じ給食で、同じ物が食べられて、みんなでおいしいねって言える事がどんなにうれしい事なのか、男の子に教えてもらいました。そこから ‟学校給食に米粉パンの日をつくって欲しい活動” を始めています。

自分がアレルギーになって分かった事ですが、米粉パンを必要としている方が大人も含め沢山いらっしゃり、米粉パンを探している現状があります。

私は小さな米粉パン屋ですが、必要としている方の元へお届けできるまで続けていこうと思っています。男の子が見せてくれた笑顔がもっと広がるように、頑張りたいですね。

大成功のクラウドファンディング

そいみん:先日挑戦された、クラウドファンディングは大成功でしたね!それだけ、米粉パンが認知されてきたということなのでしょうか。

山下さん:クラウドファンディングは、本当にびっくりするぐらいのご支援をいただき、感謝しかございません。クラファンでいただいたコメントの中には、小麦アレルギーの方や小麦不耐症の方が多くいらっしゃり、同感できる内容ばかりでした。米粉パンを探してました!と喜びのご連絡をいただいております。

そいみん:クラウドファンディングの支援は、今後どのように活用されるご予定ですか?

山下さん:米粉の普及活動、学校給食への米粉パン導入、米農家さんへの支援に使わせていただきます。

私がつくる米粉パンを必要としてくださる方がいる限り、提供し続けたいと思っていますが、そのためには、もっと米粉パン屋さんが増えて、広く米粉パンの存在を知ってもらう事が重要だと思っています。お米の国ニッポンならではの米粉パンは、日本中に広がるべきです。

未来の子供たちのために出来ること

そいみん:日本の米離れは、深刻ですよね。主食がパンという方も多いですから、お米を原料にしたおいしいパンがあれば、国内はもちろん、外国の方にも “nipponのお米パン” としてアピールもできそうですね。

山下さん:日本人のお米の摂取量は、30年前に比べて1/3しかないんですよ!米の自給率は97%、とうとう100%を切ってしまいました。日本のお米を守るには、自給率をアップさせていくしかありません。

未来の子供たちのためにも、おいしいお米をつくっている農家さんのためにも、お米の消費を増やす必要があります。大半を輸入に頼る小麦よりも、国内でまかなえる米粉をもっと普及させて、自給率、受給率ともにアップさせることが私の役目だと考えています。

そいみん:私たちは、いつの間にか、小麦に依存した生活になっていますよね。パンや麺類、カレーや揚げ物、ケーキやお菓子、もうほとんど小麦!

山下さん:ほんとに、小麦過多です。食べ過ぎが原因で、アレルギーを引き起こす場合もあるかと思います。

3食のうち、せめて1食は米食にしましょう!米粉パンは消化が良く、腸活にも繋がります。これまで食べている小麦パンと置き換えたり、選択肢の1つに米粉パンを加えてみてはいかがでしょうか。

味覚の授業も始めてます!

そいみん:私は今、オーガニック専門家目線で、学校給食や病院食などのメニューがもっとカラダに負担の少ないものに変わる必要があると感じています。米粉パンが、給食に導入されるのは、大賛成です。

山下さん:たとえば、全国の小学校で米粉パンを導入すれば、小麦だけでなく、卵や乳アレルギーの子供たちも安心してパンを食べられますし、その土地で取れたお米を使えば、地産地消にも繋がります。実現させたいですね。

そいみん:山下さんの米粉パンへの情熱と、アレルギーの方や米の生産者を助けたいという信念、私の大好きなCUBREADのバックグラウンドを知ることができて、ますます応援したくなりました。今後の予定などをお聞かせください。

山下さん:カフェのスペースは、米粉パンの工房を拡張するためクローズしました。ケータリングやお弁当のオーダーは、事前予約になりますがお請けしております。

出店の予定は、9月9日 千葉市美浜区/TIMBER YARD パンマルシェ、9月10日 静岡県三島市/クラフトビアマルシェ、三島楽寿園、9月21日22日 二子玉川高島屋/ベーカリーフェア B1催事場、9月27 日 御茶ノ水ソラマルシェ/パンマルシェ です。

米粉とは少し離れますが、味覚の授業「(握る人によって味が変わる)塩むすび」をボランティアで行っています。お米の甘さ、おいしさを子供たちに伝えていく活動も始めています。興味のある方は、インスタグラムからお問い合わせください。

CUBREAD

静岡県伊東市で、南伊豆のオーガニック米と熊本のミズホチカラをブレンドした米粉パンを製造販売。乳製品や卵、白砂糖も不使用、無添加(アルミニウムフリーベーキングパウダー使用)で、ヴィーガンパンやクッキーなども豊富に揃える。

店主である山下さんが小麦アレルギーのため、製造室内に小麦および小麦製品はない(※コンタミネーション=異物混入の問題なし)。 アレルギーがあってもなくてもみんなで「おいしい!」と言えるパンを目指す。

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