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野菜を重ねるだけでない「重ね煮」の奥深さ

住んでいる土地でとれるものをいただくことは、私たちの体にとってやさしく理にかなっていると聞いたことはありませんか?

風土に寄りそう食べ方のほかにも、生命あるものを丸ごといただく「一物全体食」や、東洋の自然観「陰陽 (いんよう)」のバランスが取れた「中庸(ちゅうよう)」の状態=健康な状態を考えて作る料理が「重ね煮」です。

マクロビオティックの根本でもあり、アレルギーや生活習慣病など、現代特有の疾患は、陰陽バランスの崩れが原因であるという考え方が基になっています。

旬の野菜をたっぷり使い、「中庸」調理で日常から「養生」すること、体の内側から健康をつくりあげていく家庭料理「重ね煮」の魅力をクイック解説します。

目次

  • 重ね煮とは
    • 重ね煮には2種類ある
  • エキスパートから教わる重ね煮の魅力
    • 重ね煮料理研究家 田島 恵氏
    • 重ね煮・野菜の料理研究家 戸練ミナ氏
  • 重ね煮の基本的な作り方
    • 山田 直氏のレシピ
  • まとめ

重ね煮とは

鍋の中で、野菜を重ねて作る「重ね煮」

家庭でも簡単に作れるうえに、レシピも無限大。

皮むきやアク抜きをせず食材のうまみを最大限に引き出す調理法、陰陽調和の考え方など、いくつかのルールがあります。

重ね煮には2種類ある

※1 (画像/アマゾン)
マクロビオティックの世界観〈巻1〉 (手のひらの宇宙BOOKs)/斎藤武次著は、こちら

※2 (画像/アマゾン)
野菜を信じるレシピ―岡山の料理宿「わら」が贈る“口福”の自然食/
船越康弘・船越かおり著 は、こちら

※3 (画像/アマゾン)
重ね煮だからすごくおいしい 鍋ひとつの手間なしレシピ/梅崎和子著は、こちら

「重ね煮」には、無水の重ね煮水を使う重ね煮の2種類があり、それぞれ背景や特徴があります。

無水の重ね煮

民宿「わら」の船越康弘氏(※2)が開発
マクロビオティック(食養)の提唱者である桜沢如一氏(※1)の弟子、小川法慶氏より学ぶ

・野菜の切り方や包丁の持ち方、からだの角度などに決まりがある

・時間をかけて(弱火で30~40分)じっくり無水調理。重ね煮のベースを作る段階で、野菜の甘みやうま味を引き出す

・水を使わないので保存がきき、様々な料理にアレンジできる

水を使う陰陽調和の重ね煮

梅崎和子氏(※3)家庭料理として確立
→小川法慶氏より学ぶ

・アレルギーの子供も食べられる家庭料理

鍋の中で中庸を作る

・時短調理(15分程度)でき、シャキシャキした食感鮮やかな色味に仕上がる

どちらの手法も、季節や地域によって異なるレシピが多数存在します。

エキスパートから教わる重ね煮の魅力

重ね煮料理研究家 田島 恵

※(写真/アマゾン)
はじめてママとパパでもかんたん 〈3~5歳〉強いからだを作る! 重ねて煮るだけ 子どものお弁当/田島 恵著は、こちら

水を使う陰陽調和の重ね煮料理研究家 田島 恵氏は、息子さんのアトピー性皮膚炎と喘息で病院通いを続けていたときに重ね煮に出会い、のちにご自身の体も整い重ね煮の力を実感。鎌倉市の自宅で「重ね煮アカデミー」を主宰。

田島氏によると、水を使う陰陽調和の「重ね煮」は、子どもが野菜嫌いになる原因とされるクセやエグみがうまみへと変わるほか、以下のような特徴や利点があるそう。

・重ね煮で素材そのものの甘みが引き出されるので、砂糖や油をあまり使わなくてよい

・皮をむかずに調理するのは、野菜の皮と実の間には栄養とうまみがぎっしりあるから。調理時間の短縮にもなり、ゴミも少なくて済む(油を使わないので洗い物もラク!)

・火にかけてからの加熱時間も15分以内。野菜から出るダシはうまみのベースになるので、アク取りもしなくてよい

・加熱中は放っておけるので別の作業ができ、出来上がりまで効率良く調理することができる

参照:一般社団法人「日本重ね煮協会」

そいみん。

野菜たっぷりヘルシーで、簡単時短、おまけにエコだなんて、今の時代にピッタリな調理法ですよね!

重ね煮・野菜の料理研究家 戸練ミナ

※(画像/アマゾン)
はじめての重ね煮 (旅する重ね煮1)/戸練ミナ著は、こちら

戸練氏は、健全な穀物や野菜を適切な方法で摂取するのに最も良い調理法が「重ね煮」だとおっしゃっています。

重ね煮調理には、全て自然のバランスを取り入れるという東洋的な考え方があります。生きる為に生きるものを得る、自然に対する深い愛情と尊敬が重ね煮の基本です。この考え方は過去から脈々と受け継がれてきた大切なもので、それを活かした調理法である重ね煮は先祖が私達に与えてくれた最大のギフトだと言うこともできます。重ね煮は伝統を守る調理法でもあるのです。

はぁも煮/重ね煮を化学する vol.2 より抜粋
そいみん。

自然に対する愛情、敬意を持って、小川法慶氏をはじめ、ご両親から重ね煮を継承したという戸練氏。

現在、栄養学×マクロビオティック×薬膳の知識を活かしたオリジナルスタイルの重ね煮を発信されています。

戸練ミナ氏のコラム「世界的に広がるベジタリアン食・ビーガン食と 重ね煮の可能性」も読んでみて!

重ね煮の基本的な作り方

家庭で誰でも簡単に始められる、水を使う重ね煮の手順は、これだけ!

① 鍋の底から重ねていく食材から切り、順番に鍋の中へ

→「順番に切って重ねる」をくり返す。
加熱中は、鍋の中で食材がぶつかり合い対流を起こすので、ぎゅうぎゅう詰めではなく、空気や水が通るようにふんわり重ねていく。(※レシピにより、少量の塩を使う場合もあり)

ポイント

ジャガイモやニンジンは、皮をむかず、ゴボウやレンコンは水にさらさず、丸ごと使いましょう!

②鍋に水を加えて、ふたをしてから火にかける

→火にかけてから出来上がりまで、およそ15分。水を加えることで対流がスムーズに起きるので、火が回りやすく早く仕上がる。

ポイント

材料を重ねてフタをして中火にかけたら、湯気が出てきて良い香りがするまでは、フタを開けないで!

そいみん。

手順は簡単ですが陰性・陽性の食材バランスが悪かったり、重ねる順番を間違うと、調和された丸いふくよかな味にならないそうです。

ビギナーは、調理に慣れるまではプロのレシピにそって食材の組み合わせや分量、重ねる順番や加熱時間などを守って!

山田 直氏のレシピ

まずは、家庭で簡単に手に入る食材3つで、重ね煮にチャレンジしてみませんか。

ヨガ講師・自然食料理人の吉田 直氏のレシピ(参照リンク:saita)がわかりやすいので、最後にご紹介しますね。

ビーガンは料理の際、動物性食材を避けるので、お味噌汁も基本は出汁なしで作ることが多いと思います。重ね煮を使えば、よりおいしい野菜ベースのみそ汁ができるので、ぜひ活用してみてください。

キノコ系やタマネギをたっぷり使う重ね煮は、カレーやグラタンなどにアレンジすると、うまみやコクがアップしますよ。

★吉田 直氏のレシピ、キャベツ・ニンジン・ジャガイモで重ね煮!

★吉田 直氏のレシピ、エノキ・新タマネギ・ニンジンで重ね煮!

まとめ

「切って・重ねて・煮るだけ」の時短料理、保存食や離乳食としても注目されている「重ね煮」ですが、料理のプロも魅了される、極めると奥深い調理法です。

「重ね煮」に出会って体調が改善されたり、簡単なので親子で一緒に料理する機会=コミュニケーションが増えたり、料理の苦手意識を克服された方、生活が豊かになったという方もいらっしゃるようです。

少ない材料、鍋ひとつあれば、すぐに始められるのも良いですね!

ビーガンも、自然と調和した重ね煮のメソッドをぜひ取り入れて、健康レシピの幅を広げましょう!

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