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遺伝子組換えのデメリットとメリット、表示改正でどう変わる?

食品の表示は、消費者が商品を選択するうえで、とても重要な情報です。食の安全に対する興味や関心がある方なら、この春から改正される「遺伝子組換え表示」についても、意見を持っていらっしゃるはず。

ビーガンの食生活に欠かせない大豆・大豆製品などは、遺伝子組み換えの問題がつきまといます。この機会に、問題点や注意点を正しく知っておきましょう。

【目次】

  • 遺伝子組換え食品とは
    • 遺伝子組み換えのメリット
    • 遺伝子組み換えのデメリット
      • 遺伝子組み換えとゲノム編集の違い
  • 日本での遺伝子組換え作物の利用状況
  • 遺伝子組換え表示制度はどう変わる?
    • 遺伝子組換えなしは、オーガニックなの?
  • まとめ 

遺伝子組換え食品とは

画像はイメージです

遺伝子組換え食品とは、他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込む技術を利用して作られた食品です。

消費者庁:遺伝子組換え食品

たとえば、多種類のジャガイモの種を交配させて害虫や病気に強いジャガイモを作る、気候や冷害への耐性を持った米を作るといった具合に、もともとの性質を育てながら変えていくことで、食糧の増産、栄養不足の改善、農業の省力化や経営改善、作物を病気から守るなど、さまざまな利益を社会や環境にもたらすとされる遺伝子組み換えの技術。

1950年代に普及した窒素肥料や農薬、技術革新により増加してきた単収 (ある一定面積当たりの収量または収入) は、1996年に導入された遺伝子組換え作物 (以下、GMO) により、さらに増加したといわれています。

一方で、GMO による、人体や環境への影響などの懸念も根強く、安全性について賛否両論を巻き起こしています。

遺伝子組み換えのメリット

国連によれば、2050年には97億人に達すると予測されている世界の人口。今よりももっとたくさんの食べ物を生産していかなければならない現状です。

しかし、気候変動による農作物(とうもろこし、米、小麦、大豆)の生産は不安定化しており、2030年代までに9%、2050年代までに23%減少するという研究発表もあるほど。

厳しい見通しの中で、GMOは、もはやなくてはならないものになってきました。

GMOならば害虫や除草剤に強いため、大量生産が可能、食糧危機を解決する有力な技術のひとつと考えられています。ほかにも、以下のようなメリットが挙げられます。

害虫や病気に強い作物のため農薬の散布が少なくて済む
農薬(除草剤)で枯れないよう改良できる
低コストで、収穫量は増大
栄養成分の強化
・時代に合わせた作物を短時間で生産できる

そいみん。

遺伝子組み換えの最大のメリットは、求める特性を持たせるためにかかる時間が大幅に短縮できること。

従来の品種改良では、新たな性質を持つ作物を作るために、何世代もの交配を行い、求める性質が現れるのを待つ必要がありますが、遺伝子を組み換えるだけで作物に新しい特性をもたせることができるのです。

遺伝子組み換えのデメリット

遺伝子組換え食品が生まれて、日本で流通してからおよそ20年。

歴史は浅く、誰がどのくらい遺伝子組換え食品を食べているのかも明確には分からないことから、「遺伝子組換え食品が絶対に体に悪い」とも「安全」とも言い切れないのが実情です。

土壌汚染、自然の生態系を壊す可能性
生物多様性の減少農薬耐性植物の横行
人体に及ぼす影響が、明確ではない
・大企業の搾取
GMOの安全確認のために、動物実験が行われている

遺伝子を組み込むことは、そもそも不自然な行為といえます。

人体に影響があるものは市場には出回らない、と厚生労働省は発表していますが、GMOを摂取することで、ガンや白血病、アレルギーや不妊などの健康被害が出る可能性があるという専門家の指摘もあります。

日本は大豆をたくさん使う国なのに、自給率はたったの7%。大豆の多くはアメリカを始めとした輸入に頼っています。しかも、輸入された大豆の多くは遺伝子組み換えです。

ビーガンが安心して使える「乾燥大豆ミート」は、遺伝子組み換えではない商品が多いものの、加工品に関しては、遺伝子組み換えかどうか明記されていないことが多く、GMOであることが疑われます。

遺伝子組み換えとゲノム編集の違い

高確率で目的とする品種改良(突然変異)を行える技術が、「ゲノム編集」。

遺伝子組み換えが遺伝子に直接作用するのに対し、ゲノム編集はあくまで環境を用意して変異を誘発するという違いがあるものの、知識がある人以外には理解が難しいことや、技術が似ている部分があることなどが、両者を区別しにくい原因になっているようです。

実際、世界各国でこの「ゲノム編集」を「遺伝子組み換え」とみなすか、別のものととらえるかの判断は異なっており、米国、EU、日本ではスタンスの違いがみられます。

日本での遺伝子組換え作物の利用状況

写真はイメージです

日本で食品として安全性が確認され使用が認められているGMOは、大豆(枝豆及び大豆もやしを含む)・とうもろこし・ばれいしょ・なたね・綿実・アルファルファ・てん菜・パパイヤ・からしな、9農産物および33加工食品群

ちなみに、1996年から上記のようなGMOを輸入していますが、国内で食用として使用することを目的としたGMOの商用栽培はありません。

遺伝子組換え食品の例は、食用油・しょうゆ・コーンスターチコーンシロップなど。また、家畜の飼料としても多く使われています。

そいみん。

油やしょうゆなどは、最新の技術によっても組換えDNAなどが検出できないため、表示義務はありませんが、任意で表示することは可能。

この場合、「遺伝子組換えでない」「国産大豆」などの表示がないもの=GMOを使用している可能性が高いでしょう。

遺伝子組換え表示制度はどう変わる?

日本でGMOを利用するには、環境に対する安全性(生物多様性への影響)、食品としての安全性、飼料としての安全性について、科学的な評価を行うことが法律で定められています。

この審査をクリアしたGMOだけが日本へ輸入され、国内での流通、利用、栽培などを許されます。

遺伝子組換え表示制度」とは、日本で安全性が確認された9つの遺伝子組換え作物とそれらを使用した加工品について、食品表示基準に基づいて定められた表示ルールです。

義務表示制度任意表示制度があり、改正されるのは任意表示制度です。

今回の改正は、2017年に行われた消費者庁「遺伝子組換え食品表示制度に関する検討会」の結論を受け、消費者の誤認防止や選択の機会を拡大することを目的としたもので、GMOが不検出の場合のみ「遺伝子組換えでない」と表示できるようになります

これまでの任意表示制度では、大豆・とうもろこしについて、GMOの意図しない混入が5%以下に管理されていることを証明できる場合は「遺伝子組換えでない」等の表示をすることが可能とされていました。

今回の改正により、GMOが不検出という直接的な検査結果が出ている場合を除いて「遺伝子組換えでない」の表示ができなくなります。

つまり、新制度が施行されることでより厳格に管理されることになります。

そいみん。

遺伝子組換え作物を避けている消費者にとっては、より意識的な商品購入の際の判断材料となるとされますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

食品メーカーは、GMOの混入を確認する方法としては、第三者分析機関による分析や、栽培・管理体制を証明する書類などを備えておくことが必要になります。

なお、書類などで上記が証明されている場合でも、行政の科学的・社会的検証で混入が認められてしまうと不適切な表示となってしまいます。

GMOを栽培する国から輸入された原材料は、きちんと分別されていたとしても、輸送の都合上、微量の混入は避けることが難しいのが実情です。

そのため、これまでの「遺伝子組換えでない」の表示から「分別生産流通管理済み」の表示に切り替えるメーカーが多くなると予想されます。

混入していないことを証明するには、原材料の輸入を非GMOのみを栽培している国に限定するか、専用の輸送体制を整える必要があるため、事業者にとってはコストの面でのデメリットが大きくなるでしょう。

そいみん。

分別生産流通管理とは、遺伝子組換え農産物の混入を防ぐため、生産・流通・製造加工の各段階において、遺伝子組換え農産物と分けて管理されているということ。

※表示の対象は主な原材料(重量に占める割合上位3位まで、かつ5%以上の原材料)

米国の「NON-GMO (Genetically modified organism) や「GMO Free」 =「遺伝子組換え作物ではない」といったマークを日本でも導入するなど、消費者にとってよりわかりやすい表示方法を求めていく必要があるのではないでしょうか。

遺伝子組換えなしは、オーガニックなの?

遺伝子組換えなしは、オーガニックなの?と思われていることもありますが、遺伝子組換えなし=オーガニックとなるわけではありません。

ただし、食品においてオーガニック規格では「遺伝子組み換え使用不可」のため、「有機JAS認定」のような有機マーク保有の食品ならば、遺伝子組換えなしと捉えることができます

まとめ

良い食品、悪い食品とは、何か。

研究や科学の進歩、環境変化や法律の改正などにより、価値観も変わっていくものですが、現状、GMOが及ぼす影響は不確かです。

遺伝子組換え食品は、たくさんのメリットがあるといわれる反面、人体や環境への悪影響が懸念されています。安全性が不確かなものは避ける、というのも選択肢の一つかもしれませんね。

「遺伝子組換えでない」「国産大豆」などという表示のある商品を購入すれば、GMOを避けることができますが、加工品となると、そうはいきません。

その場合は、加工品は出来る限り避ける、NON-GMOと表記されているものや、オーガニックのものを選ぶようにしてください。

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