プレバイオティクス(腸内細菌の栄養源となり、腸内細菌の増殖を促進する成分)として機能し、腸内フローラのバランスが整うとされるユーグレナ。
健康・美容効果が注目を集め、NASAでは宇宙食として研究されているスピルリナ。
環境や貧困問題の改善にもつながる、地球に与えられた自然からの最後の恵み、モリンガ。
ますます価値が高まっている、緑色のスーパーフード3種を総まとめ!
【目次】
- 緑色のスーパーフード
- ユーグレナとスピルリナは、藻の仲間
- モリンガは、植物
- それぞれの特徴と期待できる効果
- 「美しい(eu)眼(glena)」という意味を持つ「ユーグレナ」
- あらゆる動植物の起源「スピルリナ」
- 地球や世界中の人々に明るい未来をもたらす「モリンガ」
- それぞれのデメリット
- まとめ
緑色のスーパーフード
ユーグレナとスピルリナは、藻の仲間
「美しい目」の意味を持つユーグレナ(和名:ミドリムシ)は、その名前から虫と勘違いされることがありますが、ワカメやコンブなどと同じ「藻」の仲間。
体長は直径0.06~0.09mm。世界中で100種以上も存在し、大きさや栄養素、育っている環境もさまざまです。
5億年前からこの世に生き続けている生命体ですが、2005年、世界で初めて株式会社ユーグレナ社が大量培養に成功し、サプリメントが誕生しました。
栄養が豊富に含まれるだけでなく、栄養が消化されやすい細胞の構造「パラミロン」の働きが特徴。
59種類の動物性と植物性の栄養素を兼ね備えて、それらが助け合って働くことで、生活習慣病改善や免疫力の保持に貢献してくれます。
スピルリナは、35億年前から地球に存在する最古の生物。藍藻類に属する全長0.3~0.5mmの緑青色螺旋状の微細藻類。
多様なスーパーフードが混在する中、特に素晴らしい栄養価がある「プライマリースーパーフード10」にも選ばれています。
50種以上の健康・栄養成分が含まれており、その50~70%が、人体では合成されない必須アミノ酸をすべて含む良質なタンパク質。免疫力を高め抗酸化作用のあるβ-カロテンやビタミンB群の含有量も他の食品や藻類と比較をしても、突出しています。
スピルリナは堅い細胞膜を持たないため、その消化率は95%と非常に高く、栄養素が体内にスムーズに消化吸収されるのが特徴です。
モリンガは、植物
モリンガは、インド・ヒマラヤを原産とするワサビノキ科の植物。種から花までほぼすべての部分を利用できることから「ミラクルツリー」「奇跡の木」とも呼ばれます。
5,000年以上前より治療薬や美容、健康のために利用されてきました。インドの伝承医学であるアーユルヴェーダ(インドで古くから語り継がれている東洋医学のひとつ)でもメディカルハーブの1つとして記されています。
荒れた乾燥地帯や汚れた水しかない過酷な環境でも育ち、さらに栄養豊富なことから、近年世界中で植樹され発展途上国において安定的な資源となっています。
また、貧困地域の乳児や妊婦、授乳婦の栄養失調の治療と予防のために使用され、地球環境改善や世界中の人々を幸せにする植物であると世界中で話題に。
90種類の栄養素、300種類もの効能効果があるとされ、地球上に存在する植物の中でもっとも栄養価が高い植物であると評価する研究者もいるほど。抗酸化作用や抗炎症作用はダイエットやアンチエイチングに効果的といわれています。
世界三代美女のクレオパトラが、モリンガのオイルを肌に塗り、モリンガのお茶を飲んで美しさを維持していたという話もあるそうですよ。
それぞれの特徴と期待できる効果
「美しい(eu)眼(glena)」という意味を持つ「ユーグレナ」
5億年以上前に誕生した原生動物、ミドリムシ (学名:ユーグレナ Euglena)は、1660年代にオランダのレーウェンフックによって発見されました。
植物のように葉緑体を持ち、光合成をして体内に栄養分を自ら作り出し蓄積。鞭毛を動かして光に向かって泳ぎ、動物のように細胞を変形させて動きまわります。
眼のような形の中に、オレンジや赤の点が存在するために、ラテン語で「美しい眼」という意味を持つユーグレナと名付けられました。葉緑素による緑色をしていますが、その他の色素によってオレンジ色や赤色をしたものも存在します。
今、世の中に出ているサプリメントや食品に使われているミドリムシのほとんどは、ユーグレナグラシリスという品種。13種のビタミン、19種のアミノ酸(必須アミノ酸9種類)、9種のミネラル、12種の不飽和脂肪酸ほか、全59種の栄養素が含まれています。
栄養価の高さでギネスブックでも認定されるアボカドをはるかに超えるビタミンを含み、理想に近いアミノ酸バランス。細胞壁がなく細胞膜だけなので、野菜や果物よりも効率的に栄養素を消化できます。
一番の特徴ともいえるのが、ユーグレナだけがもっている食物繊維と似た働きをする「パラミロン」。
パラミロンは、ユーグレナ独自の成分で身体に吸収されることはなく、そのまま体外へ排出されます。らせん状の形になっていて、たくさんの小さな穴が開いており、その形を生かして、スポンジのようにさまざまな不要物を吸収し、そのまま体外へ排出してくれます。
このパラミロンが、腸内を綺麗にしてくれることで腸内環境が整い、腸内免疫のアップにつながります。
身体に良い影響を及ぼす善玉菌として「酪酸菌」にも注目が集まっています。長寿の方の腸内に多く存在することから長寿菌とも呼ばれています。ユーグレナが、腸内に最も豊富な酪酸菌の一つ「フィーカリバクテリウム」の増殖を促進して、酪酸産生を増やすことが確認されました。
株式会社ユーグレナ/ニュースリリース
ユーグレナ ヘルスケア・ラボ/健康コラム/ユーグレナ
あらゆる動植物の起源「スピルリナ」
スピルリナの名前由来は、ラテン語の“らせん形の”を意味する “Spira”(英語/Spiral)。1927年、ドイツの藻類学者ドゥルピン博士が発見し命名。
食用として脚光を浴びるようになったのは、1967年頃。ヨーロッパでは健康食品として一早く取り入れられましたが、日本では1970年まで全く知られていませんでした。
スピルリナは、淡水に生息する一般的な藻とは異なり、高温・高アルカリ・高塩分という過酷な環境下で繁殖できる強力な生命力が大きな特徴。
約35種あるとされ、主にアフリカや中南米の熱帯から亜熱帯地方、塩湖であるアラビア半島の死海などに多く生息しています。
現在、人工的に純粋培養しているものは全て自生湖から分離した「platensis」を種母にしており、豊富な栄養価から「スーパーフードの王様」と呼ばれます。
50種以上の高い栄養価とともに、培養に水を多く必要としない条件が飢餓・栄養不良を撲滅させる手段として期待されています。
タンパク質が豊富なスピルリナを将来の食糧源としてとらえた報告により、関心も集まりました。現在、世界の国々の人工池で大量培養され、健康食品として人々の健康管理に役立っています。
米航空宇宙局(NASA)では、食糧利用としてのほかにスピルリナの生態系を利用して、宇宙空間におけるO2供給源としての活用も研究されています。
米国、ヨーロッパでの注目度が高く、主たる消費地となっていますが、日本でも安全性は勿論、その効用は多くの大学や研究機関で研究されています。
スピルリナは、葉緑素(クロロフィル、緑色)、βカロテン(カロテノイド、橙色)、フィコシアニン(青色)と色素含有率が高いのが特徴です。そのため着色料として利用されることもありますが、これらの成分は体の調子を整える役割も持っています。
フィコシアニンは抗酸化作用があると言われていて、免疫力の向上やエイジングケアにも期待が寄せられています。
タベルモ公式サイト/スピルリナの研究レポート スピルリナとは
地球や世界中の人々に明るい未来をもたらす「モリンガ」
モリンガは、インド北部や南アジア、アフリカ、南米などに分布するワサビノキ科に属するハーブ。
学名(世界共通の名称)を「モリンガ オレイフェラ」といい、イギリスでは「ドラムスティックツリー」、フィリピンでは「マルンガイ(母親の親友)」の愛称でも親しまれています。
近年のスーパーフードブームにおいて、茎から葉、花、種子、根まですべてに利用価値があることから別名「マルチパーパスツリー」とも呼ばれ、乾燥地域で育つことから、飢餓問題や環境保護を目的とした植林活動が行われています。
モリンガの木や葉は一般植物の20倍ものCO2を吸い込み、種には水を浄化する効果もあるということで、環境保護、温暖化対策に非常に有効だといわれています。
モリンガが栽培されているアフリカのガーナやフィリピンのセブ島などの小規模な農家にも、利益を生み出します。
日本では九州・沖縄地方を中心にモリンガの栽培が行われるようになり、サプリメントやお茶、美容商品が人気。
栄養学の研究者である本三保子氏の著書『モリンガの実力』によれば、以下のような効果・効能が期待できるとされています。
・お通じに良い
不溶性食物繊維および水溶性食物繊維が含まれています。近年注目されている「レジスタントプロテイン(消化管内で消化・吸収されにくいタンパク質の総称)」も豊富に含まれます。
・高血圧でお悩みの方にとって理想的な食品
血圧の降下に効果のあるカリウムや食物繊維、ギャバ(γ-アミノ酸)といった成分が豊富。
・貧血や骨粗しょう症の予防
鉄分が豊富。カルシウムは、牛乳の約20倍も含まれています。
・煎茶や紅茶、ウーロン茶よりも抜群に高いGABA(ギャバ)含有量を誇ります。
・花粉アレルギーに対しての抑制効果、アトピー性皮膚炎の症状改善
モリンガには、鎮静作用や抗炎症作用が証明されているそう。
・脂質の酸化を抑える働き
オリーブオイルにも含まれる不飽和脂肪酸・オレイン酸が豊富。モリンガの葉に、抗酸化作用の高いビタミンEが多く含まれています。
・強い抗細菌成分
モリンガの種子に含まれる水およびエタノール抽出物が食中毒原因菌である大腸菌や黄色ブドウ球菌などに対して、抗菌作用を示したことが報告されています。
このほかにも、胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因ともなるピロリ菌に対する効果、育毛作用や関節の炎症を防ぐ効果、老化予防や美肌効果、アンチエイチングなど、数えきれないほどの効果があるとされます。
それぞれのデメリット
ユーグレナと名のつく商品は何千とありますが、品質にばらつきもあるようです。また、一部で「効果がない」などとネガティブなコメントもあるようですが、ユーグレナ商品の選択を間違っている、適切な量を摂っていない、毎日の食事で栄養が十分に足りている場合などは効果が感じにくいそうです。
ユーグレナに含まれているパラミロンは食物繊維と似た働きをします。胃酸が少なかったり、腸の動きなどが悪い時に、食物繊維や発酵食品を摂取すると、便秘や下痢、お腹が張るといった症状が起こることがあります。
トラブルが起きる場合は、摂取時は用法容量をしっかり守ることはもちろんですが、自分の体調や状態に合わせて摂取量を変えてみることをおすすめします。
ユーグレナは自然の健康食品素材なので、薬との併用も可能とはいえ、不安があれば自己判断をせずに医師に相談しましょう。
スピルリナに含まれる葉緑素が分解してできる物質・フェオホルバルトは、光過敏症の原因になる場合があります。
病気の治療のために、血液を固まりにくくするワーファリンを服用している場合は、スピルリナを同時に摂取してしまうと、ワーファリンの働きを弱めてしまう副作用が起きるため、注意が必要です。
一般的にスピルリナは、適量の摂取であれば、副作用や健康上のトラブルが起こることは少ないそうです。
わかさの秘密/スピルリナ
モリンガは薬と違って自然なものであるため、基本的に副作用はないとされています。しかし、血糖値を下げる作用があるので、降圧剤を服用されている方は注意が必要。
また、多くのミネラル・カリウムも含むため、透析治療を受けていらっしゃる方も摂取には注意してください。
モリンガと薬の相互作用、同様の働きのある薬を飲んでいる場合は、主治医と相談したうえで摂取するようにしましょう。
厚生労働省によると、妊娠している人または可能性のある人は、モリンガの根や根の抽出物を摂取しないようにという注意喚起がされています。※海外では、逆に推奨されている場合があります。
まとめ
5億年前から生き続ける不思議な生命体、ユーグレナ。
地球がまだ一面砂漠のような状態であったころに誕生し、現在まで生き残ってきた生物、スピルリナ。
5,000年以上前から民間療法で重宝されてきた効果が、実証実験によって解明されつつある、モリンガ。
あまりに素晴らしいスーパーフードで、今回だけでは解説しきれません。
次回は【緑色のスーパーフード/その②】として、ユーグレナ・スピルリナ・モリンガの具体的な摂取の方法、成分や効能の比較をお伝えします。
ぜひチェックして購入の参考にしていただければと思います!
※スーパーフードに関する記事は、こちら
どちらも豊富な栄養素と特有の成分を保持しており、健康食品としてだけでなく、現代社会が抱えている環境問題の解決の糸口になる素晴らしい生命体!