食生活をビーガンに変えていきたいと思った時、つまずくのが「調味料」。これまで使っているものが継続できるか、一度チェックする必要があります。
各メーカーがいろいろな調味料を発売しています。できるだけ身体にやさしいもの、良質なものを選ぶためのポイントをまとめました。お買物の前に、参考にしてみてくださいね。
【目次】
- ビーガンが使える調味料とは
- 基本の調味料
- 塩
- 砂糖
- 蜂蜜や甘味料
- 醤油
- 酢
- みりん
- 料理酒
- 味噌
- 添加物について
- まとめ
ビーガンが使える調味料とは
ビーガンは、動物性食材を摂りません。たとえば、鰹だしのみそ汁や、卵の入ったマヨネーズなど、調味料も動物由来のものが使われている場合は避けます。
一般的な調味料の中には、原料が植物であっても、製造過程や添加物の中に動物由来のものが入っている場合が多数。厳格なビーガンになるには100%植物性の調味料に置き換える必要があります。
こうした理由からビーガンは外食が難しく、自炊するしか安心できる方法はないという結論になります。(ゆるビーガン、ビーガン初心者、フレキシタリアンの方などは、自分の許容範囲内でルールを決めればOK!)
ちなみに、ビーガン=無添加、無化学調味料と勘違いされる場合がありますが、そうとは限りません。原材料を確認するクセをつけましょう。
うれしいことにビーガンカフェやビーガンレストランでは、オーガニック食材や調味料を使用していることが多いです。私も出来る限り、日頃からオーガニックを選ぶようにしています。毎日使うものだからこそ、良質なものがいいと考えます。
基本の調味料
塩
海に囲まれた日本では、昔から海水で塩を作ることができましたが、長い間このミネラルたっぷりの「にがり」を含んだ自然塩よりも、科学的に精製した「塩化ナトリウム」が食卓塩として広く出回っていました。
塩化ナトリウム(精製塩)に栄養はありません。逆に、さまざまなミネラルを含んだ自然塩は、独特のうま味も感じられます。
用途によって精製塩と天然塩を使い分けるという考え方もありますが、ビーガンやマクロビアンには「天日塩」や「平窯」などとパッケージに書かれた自然塩が選ばれています。
ただし「天日塩」や「岩塩」と表記があっても、それは「製法」の事であって「原料」の話ではありません。メキシコやオーストラリアなど海外から輸入された天日海塩などは、ほとんど栄養が含まれていない場合もあります。購入するときに迷ったら、お店の人に確認しましょう。
参照:海の精/塩
砂糖
サトウキビやてんさいからつくられる砂糖には、上白糖、グラニュー糖、きび砂糖などいろいろな種類がありますが、大きく分けると分蜜糖、含蜜糖の二つ。
白砂糖→分蜜糖。サトウキビを絞り糖分だけを分けたもの。ミネラルなどは蜜にあるので栄養が含まれていません。精製の過程で牛骨炭(骨を高温で焼き炭化させたもの)を使用しているため、ビーガンはNG。
黒糖(黒砂糖)やきび糖→含蜜糖(蜜を含んだ状態のもの)
黒糖ですが、「純黒糖」でないもの(たとえば「加工黒糖」や「再生黒糖」)は骨炭が使用されている可能性があるので避けましょう。
「きび糖」は無精製ではなく、途中で精製を止めた砂糖なので、骨炭を使用している可能性があります。
ビーガンが安心して使えるのは、純黒糖やてんさい糖(甜菜糖)です。
参照:大東製糖株式会社/#1 含蜜糖と精製糖
蜂蜜や甘味料
蜂が採集した花蜜を、蜂自身の唾液や酵素により分解され作り出される蜂蜜は、蜂たちのご飯。昆虫由来の食品の摂取については、動物愛護の観点を持つビーガンの間でも意見が分かれるところですが、厳格なビーガンは蜂蜜を食べません。
蜂蜜は栄養価も高く健康食品として人気が高いので、なんとなくパンケーキやヨーグルトに使っていませんか。ビーガンを目指す際は、甘味については蜂蜜を使わなくても、アガペシロップやメープルシロップ、甘酒などで代用できます。
参照:Vマークビーガン/ビーガンは蜂蜜を消費しますか?
醤油
大豆を醗酵させて造る醤油。お店に並んだ醤油は、どれも同じような見た目ですが、中身はかなり違いがあります。
醤油工場で大量生産される醤油は、脱脂大豆を使い、速醸という人工的な造り方により醤油が三カ月で完成します。
しかし、昔ながらの製法で造る醤油は、油を含んだ丸ごとの大豆「丸大豆」が原料で、完成まで二年醸造(二夏醤油)。こうした「天然醸造」の醤油がオススメ。
本醸造と表示してあるものもありますが、定義があいまいなため、原材料表示をしっかり確認しましょう。醤油の原材料は大豆、塩、小麦です。
だし醤油には、動物性食材が含まれている可能性があります。
参照:海の精/醤油
酢
米酢や黒酢、リンゴ酢、ワインビネガーなどがありますが、穀物や果物などの原料そのものを醗酵させたものが本物の酢。
人工的にアルコールを合成して造った酢は、醸造用糖類や醸造用アルコール、砂糖などが原材料に入っています。
みりん
純米本みりん、本みりん、みりん風調味料など、いろいろ商品名で売られているので、いまいち違いがわからないという方も多いでしょう。
この中で本物は純米本みりんだけです。「本みりん」については、定義があいまいなので、醸造用アルコールや砂糖などが加えられていないかチェック!
料理酒
日本酒(清酒)は米・米麹・水が原料で、飲用がメイン。
一方「料理酒」は、料理に特化した「醸造調味料」。製造過程で食塩を加えて加塩発酵を行うため酒税の対象にはなりません。お店には「料理酒」と「純米料理酒」が置かれており、何が違うのかわかりづらいですね。
「純米料理酒」とは、米・米麹・食塩のみを原料としており、「料理酒」に比べお米由来のうまみや風味が感じられるのが特徴とされます。ただし、メーカーにより原料の産地や配合の割合が異なるため、安心を追求するなら国産米100%などと記されているものを選んでください。
味噌
米味噌、豆味噌、麦味噌、調合味噌など、日本各地の郷土味噌は実にさまざま。甘い辛いも含めて、あまり冒険することなく、子供の頃から慣れ親しんでいる味を選びがち。
麹・味・色で分けられる味噌の種類ですが、基本的な原材料は大豆、塩、米麹か麦麹。醤油と同じく、国産の丸大豆を、天然醸造によって醗酵させた味噌がオススメです。
だし入り味噌や液状タイプの味噌は便利ですが、本来必要のない原料が多く入っています。製造過程で熱を加えられるものは、味噌が持つ酵素が死滅してしまっているかも……。
「酒精」や「アルコール」と表記があるものも同様。死滅した菌でも、整腸作用を促してくれるそうですが、生きている菌を取り入れたいならば「生みそ」を選んでください。
「生みそ」の見分け方ですが、成分表示にも酒精が含まれておらず、パッケージ上蓋には空気穴が開いています。これは発酵に伴い発生する二酸化炭素でパッケージが膨張し、最悪の場合破裂する危険性を抑止する目的。
参照:ひかり味噌株式会社/味噌の種類
添加物について
添加物は食べたからといって、すぐに体に害が現れるわけではありません。しかし、長年食べ続けることで、体内に蓄積されていきます。海外では使用が禁止されていても日本では認められているものがあり、気になりますよね。
人工的な味覚になれてしまうと、食べ物本来の味が分からなくなり、体に良いものを選ぶ力が衰えるともいわれます。加工食品やレトルト食品に頼り過ぎない食生活が理想です。
参照:
消費者庁/早わかり食品表示ガイド令和4年1月版
消費者庁/食品表示基準Q&A_食品添加物の不使用表示に関するガイドライン
まとめ
基本のビーガン調味料をご紹介しました。
一般の調味料は、動物由来の原料を含んでいるものが多いうえに、パッケージだけではすべてを知ることができないので、食材以上に選ぶのが大変かもしれません。
自然食品のお店で売っている味噌や醤油は少々値が張りますが、違いの要因は原料や製法にあります。もちろん、味にも違いが出てきます。身体のことを考えるなら、できるだけ良質なものを選びたいですね。
ビーガンの食品を取り扱うネットスーパーのオススメは、「Good Good Mart」「グリーンカルチャー」「かるなぁ」、ビーガン商品に特化した「ブイクックスーパー」などです。ご参考に!
※ビーガン仕様ではないベジタリアン向けのものもあるので、商品の購入には注意してください。
※購入の際には、ご自身で必ず表記されている原材料を確認すること、ちょっと勇気がいるかもしれませんが、疑問があればお店のスタッフにたずねてみるのも、健康を守るためには大事なことです。
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